物納した分譲マンション底地の変更要求処分を全部取消し
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:01/20/2004  提供元:21C・TFフォーラム



 物納申請された分譲マンションの底地が、物納財産として管理又は処分をするのに不適当であるか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は社会通念に照らしてみても、契約内容が貸主に著しく不利な貸地にはあたらないと示唆、管理・処分が不能として原処分庁が行った物納申請財産の変更要求処分を取り消す裁決を下した。

 この事案は、審査請求人が相続税の申告書とともに物納申請書を申告期限までに提出したところ、原処分庁は分譲マンションに付された賃貸借契約が第三者への借地権譲渡の承認は事後承諾で承諾料を徴さない条項となっていること、また国の貸付基準における借地権等の譲渡の承認にあたっては借地権等譲渡申請書を提出させること、借地権の譲渡を承認する場合は借地権の譲渡人から名義書換承諾料を徴する旨定められていることなどを理由に、貸主である国が著しく不利益を被ることになることから、社会通念上、契約内容が貸主に著しく不利な貸地に当たり管理・処分が不適当な財産と判断、物納財産の変更を求める処分を行ったため、その取消しを求めて審査請求されていたという事案だ。

 これに対して裁決は、事実認定を踏まえた上で承諾料を請求できないことが国側に著しい不利益になると解することはできないと示唆、借地権の譲渡にあたって承諾料を徴さない条項があるからといって、社会通念上、契約内容が貸主に著しく不利な貸地に該当すると解するのも相当ではないと認定した。結局、原処分庁が主張するような理由をもって、賃貸借契約の円滑な継続が困難な不動産になるとはいえないと指摘、原処分庁が行った物納財産の変更要求処分を全部取り消す旨の裁決を下している。

(国税不服審判所、2002.10.08裁決)