面積要件を満たせば小規模宅地特例の複数の適用は可能
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:12/16/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 小規模宅地等の軽減特例が複数の土地に適用できるか否かの判断が争われた事件で佐賀地裁(神山隆一裁判長)は、2つの宅地の面積を合算しても200平方メートル以下であることから小規模宅地等の軽減特例の面積要件を充足していると指摘、原処分を取り消した。

 この事件は、相続で取得した2つの宅地に小規模宅地等の軽減特例を適用して申告書を提出したのが発端。これに対して原処分庁が、小規模宅地等の軽減特例の適用が認められるのは宅地等1個に限られると指摘して更正の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて納税者側が提訴していた事案だ。つまり、小規模宅地等の軽減特例の適用対象となる宅地等は主として居住の用に供していた宅地等に限られるのか、また居住の用に供されていた宅地等に当たるのか否かが争点になっていたわけだ。

 判決はまず、小規模宅地等の軽減特例を定めた条文には居住用財産の譲渡特例(措法31の3(2))のように、「一の家屋に限る」という表現が付されていないという規定ぶりを踏まえれば、主として居住の用に供されていた宅地等に限ると解釈することは困難と指摘、面積要件さえ満たせば複数存在することも許容されると解釈するのが相当であるという解釈を示した。
また、居住の用に供されていた宅地等を主として居住の用に供していた宅地等に限定して解釈する必要もないことから、小規模宅地等の軽減特例の適用を認められるべきであると指摘して、納税者側の主張を認める判決を言い渡した。当然のごとくというべきか、課税サイドは判決内容を不服として控訴、原判決の取消しを求めている。

(2008.05.01 佐賀地裁判決、平成18年(行ウ)第10号)