公共公益的施設用地の負担は不要と判断して広大地評価を否定
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:07/20/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 相続した土地の一部が広大地であるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、原処分庁がまとめた開発想定図の各区画には間口距離、奥行距離及びその形状に特段不合理とする点は認められないと指摘した上で、公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから広大地には該当しないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、土地を相続した審査請求人らが、相続財産である土地の一部が広大地に該当すると判断して相続税の申告をしたところ、原処分庁が広大地には当たらないと否認、相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ってきたため、その全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 請求人側は、広大地通達が定める公共公益的施設用地の負担が必要か否かは、分譲販売である以上、購入者側のニーズという経済的合理性に応えたものでなければならないと主張した上で、請求人らの開発想定図又は分譲完了直前図のように道路の設置によって宅地としての財産価値が高まり、経済的に最も合理的な分譲ができることから広大地に該当すると主張して、原処分の取消しを求めた。

 しかし裁決は、1)原処分庁の開発想定図の各区画には間口距離、奥行距離及びその形状も特段不合理とする点は認められない、2)相続した土地が所在する地域及びその周辺地域において相続開始日前10年以内に行われた戸建住宅用地としての開発は4事例が認められ、いずれも道路の設置を伴う開発であるものの、開発事例の土地は公道と面していないなど道路の接続状況が相続した土地とは明らかに異なり、評価に当たり比較すべき開発事例とは認められないと認定。

 その結果、道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない開発想定図は接道状況を踏まえた経済的に合理的な想定図と認められ、道路の接続状況が評価対象地と明らかに異なる開発事例は評価の際に比較すべき開発事例とは認められず、評価対象地の相続開始後の開発形態のみによって、道路の設置を伴う開発が経済的に最も合理的な開発であるか否かを判断することは相当ではないと判断して、棄却した。

(2015.11.25国税不服審判所裁決)