負担付贈与に係る土地の価格は公示価格による算出が相当と裁決
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:10/23/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 被保険者の死亡を事由に支払われた保険金が住宅ローンの債務に充当され、債務全額が消滅したことをめぐって、連帯債務者に係る債務の消滅部分に対する課税の適否が争われた事案で、国税不服審判所は被保険者の死亡時点における債務全額に相当する経済的利益は債務の性質によって各連帯債務者の負担割合に応じて生じるものであり、債務免除によるものではないと指摘、原処分庁・審査請求人の主張をいずれも斥けるとともに土地・建物の評価額を見直した上で、原処分の一部を取り消している。

 これは、共有持分の土地・建物の取得のためにローン契約を締結すると同時に相続人を被保険者、銀行を保険契約者兼保険金受取人とする団信保険契約に加入後、相続人に係る土地・建物の持分の贈与を受ける負担として請求人がローン債務残高の返済義務を負う旨の負担付贈与契約を交わしたのが発端になったもの。相続開始に伴い、請求人の連帯債務の有無、負担付贈与された土地・建物の課税価格の計算方法が争点になった事案だ。

 これに対して裁決は、負担付贈与された土地・建物の価格は土地が公示価格に基づいて算出され、建物は再建築価格から建物の経過年数に応じた減価・償却費を控除して算出するのが相当と解釈。また、連帯債務に係る負担額は債務者間に特約がなく、各債務者が実際に受けた利益の割合(つまり持分割合)で負担することを認識していたと認定できるから、その割合に応じた額になるとも指摘。その結果、審判所の認定額によれば贈与税の課税価格は更正処分時の課税価格を下回ることから、原処分の一部を取り消す内容になった。

(国税不服審判所、2006.12.15裁決)