小規模宅地評価減特例の適用地の差替えにNoと逆転判決
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:11/18/2003  提供元:21C・TFフォーラム



 いわゆる小規模宅地等の評価減特例を適用して申告した後、同特例の適用対象地の差替えが認められるか否かの判断が争われた控訴審で、東京高裁(村上敬一裁判長)はいったん同特例を適用した評価額で申告しているのであるから相続税債務は既に確定していると判断、納税者の主張を認めた原審判決を全面的に取り消す逆転判決を下した。

 この事案は元々、都市再開発事業に供されていた土地を相続したものの、相続開始時点において施設建物が完成していなかったため、その土地にかかる同特例の適用を諦め、別な土地に小規模宅地等の評価減特例を適用して申告した後、取消訴訟の段階で特例の適用対象地をより有利な土地に差し替えた上で更正処分の取消しを求めたというもの。原審は都市再開発事業等の対象地とされていたことにやむを得ない事情を認め、納税者の主張を認容する判決を下したことから、国側がその取消しを求めて控訴していたという事案だ。


 これに対して控訴審は、小規模宅地等の評価減特例の立法趣旨を踏まえた上で、申告書に同特例の適用を受ける旨の記載をせず、かつその書類を添付せずに行った申告に対する更正処分の取消訴訟において、同特例が適用されるべき旨を違法事由として主張することは認められないと一蹴。


 また、申告書の提出の際に、特例の適用を受ける旨の記載、添付がなかったことにやむを得ない事情が認められる場合は特例の適用を認める旨の定めがあるものの、相続人は相続した別の土地を同特例の適用を受ける宅地として選択、評価減して既に申告しているのであるから、元々、更正処分についてやむを得ない事情を認める前提を欠いていると指摘して原審を否定、課税処分を妥当とする逆転判決を下している。

(2003.03.25 東京高裁判決、平成14年(行コ)第210号)