組合の出資持分は純資産価額方式による評価額が妥当と判示
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:12/09/2003  提供元:21C・TFフォーラム



 相続した企業組合の出資持分の評価額が払込済出資金額か、純資産価額によるのかが争われた事件で、名古屋地裁(加藤幸雄裁判長)は、定款に脱退時の払戻額が払込額を限度とする旨の規定があったとしても、相続税の課税価格は純資産価額方式による評価額が妥当と判示、納税者の主張を斥ける判決を下した。

 この事件は、相続した中小企業等組合法に基づく企業組合に対する出資持分を払込済出資金額で申告したところ、原処分庁が同組合の純資産価額(評基通196)に基づく評価額で更正するとともに過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、相続人らが原処分の取消しを求めていたという事案。

 相続人らは、中小企業等組合法に基づいて設立される企業組合の性格に触れた上で、組合員が出資持分を現実化する手段は脱退に伴って出資持分の払戻しを受けるしか方法はなく、組合の解散に伴う財産分配は現実的にほとんどあり得ないと反論して、原処分庁の主張は机上の空論であると批判。また、出資金は投資というよりも加入保証金として機能しており、評基通196による評価額には一致せず、資産の特性からも同通達の方法によることが不合理な場合にあたると反論していた。

 これに対して判決は、企業組合はいずれも産業一般を行うことが予定されている種類の組合であるから、企業体としての経済的実態からは会社とほとんど変わらないと示唆。その指摘を踏まえて、純資産価額方式を企業組合に採用することは公平にかない、それを否定すれば企業形態に係る法形式の選択による脱法的節税を許容する結果も招くことになると指摘して、課税処分の取消請求を棄却する判決を下している。

(2003.09.18 名古屋地裁判決、平成15年(行ウ)第13号)