収益還元方式の純収益や還元率は標準化されていないと判断
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:04/26/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 相続で取得した貸宅地を財産評価基本通達の借地権価額控除方式で評価するのが妥当か、もしくは収益還元方式で評価するのが妥当かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は収益還元方式の純収益や還元率は標準化されたものではないと指摘して、審査請求人が主張した評価方式(収益還元方式)を斥ける裁決を下した。

 この事案は、相続で取得した貸宅地等の相続税の申告の際に収益還元方式によって評価した課税価格を基に申告したところ、原処分庁が財産評価基本通達(借地権価額控除方式)に基づく評価額で更正した上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、相続人らがその取消しを求めていたもの。

 審査請求人は、借地権価額控除方式ではなく、収益還元方式による収益価格と底地取引事例から決定した底地権割合によって求められる試算価格を加重平均する評価方法が妥当であると主張して、原処分の取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、収益還元方式による土地の価額の算定においては、純収益の標準化や資本還元率の設定にあたって、客観的、理論的な算定方法を見いだし難い状況にあり、審査請求人もその根拠を示していないと指摘。また、借地権割合は原処分庁が長年にわたって、借地権の売買実例価額、精通者意見価額等を基に評定して公開されているものであり、借地権の実勢価額を反映していると考えられるとも指摘。

 しかし、請求人が鑑定評価の際に収集した取引事例は底地割合にかなりのばらつきがあり、しかも取引事例から求められた底地割合がその地域の底地の実勢価額を反映し得るほどの指標性を持つものとは認めがたいと批判、請求人が主張する評価方法には合理性がないと判断して棄却した。

(国税不服審判所、2003.09.02裁決)