土地の譲渡対価は著しく低く、みなし贈与に相当と判断
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:11/11/2002  提供元:21C・TFフォーラム



 父親から土地を譲り受けたことについて、時価に比べて著しく低い価額で譲渡を受けたものとして、相続税法7条のみなし贈与が適用されるか否かが争われた事案で、国税不服審判所は時価に比して著しく低い価額であることからみなし贈与と判断した。しかし、裁決は、原処分庁と請求人が主張する時価はいずれも採用することはできないと指摘、原処分の一部を取り消す内容になっている。

 この事案は、親子間で土地の譲渡が行われた数年後に、原処分庁が請求人の贈与税に係る決定処分、無申告加算税の賦課決定処分をしたことに対して、請求人がこれらの処分を不服として審査請求を行い、その取消しを求めていたという事案だ。

 請求人は、譲渡された土地は前面道路に地下鉄が通り、容積率が2分の1程度しか使えず、さらに単独での売買が困難であることなどを理由に、著しく低い価額による譲渡ではないと主張。一方、原処分庁は譲渡価額が近隣土地の売買取引事例や公示価格をもとに算定した土地の価額の47%にすぎないと指摘、みなし贈与にあたると反論した。

 これに対して裁決は、請求人の主張には理由がないと斥ける一方、原処分庁が主張した取引事例比較法による比準価格と公示価格を基準にした土地の価格算定についても、セットバックに係る減価部分を考慮していないと批判。結局、審判所が認定した土地の価額は原処分庁が主張する価額を下回るところから、その超える部分は取り消されるべきであるとしたものの、著しく低い価額で譲渡されたことには変わりがないと指摘、売買価額は相続税法7条に規定する著しく低い価額の対価と認めるのが相当であると判断している。

(国税不服審判所、2001.4.27裁決)