評基通の「その地域」に該当しないと判断、広大地評価を否定
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:12/04/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 相続で取得した土地等が広大地に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(八木一洋裁判長)は、財産評価基本通達24-4の冒頭に定める「その地域」に該当しないという理由から、相続人等が求めた原処分の取消請求を棄却した。

 この事件は、相続した土地等を広大地として申告したところ、原処分庁が広大地には該当しないと申告内容を否認、更正の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、相続人等がその取消しを求めて提訴したもの。相続人等は、広大地の具体的な判断基準を定めた国税庁の平成16年情報、17年情報を引き合いに、広大地の判断は情報の発出時期に応じてその判断をする必要があると主張。というのも、国税庁から17年情報が発出されたのは相続税の法定申告期限の後という事情があったからだ。

 しかし判決は、広大地の評価(評基通24-4)に係る16年改正に関しては、そのあらましとなる16年情報に続き、広大地の判定に関する執務の参考に供するものとして17年情報が公表されたと認定した上で、17年情報は16年情報で整理された内容の更なる考え方を図るための留意事項を定めたもので、相互に矛盾する内容を含むことを前提に16年情報の一部を変更したものではないと指摘。

 また、評基通24-4の「その地域」の意義については、1)河川や山等の自然的状況、2)行政区域、3)土地利用の規制など公法上の規制等、4)鉄道及び公園等、一般に考えられる客観的な状況を総合勘案して土地の利用状況、環境等がおおむね同一で、かつある特定の用途に供されることを中心とした一回りとみるのが相当と解釈した上で、ア)自然的状況及び行政区域は同一、イ)公法上の規制は一部が第2種住居地域、一部が第1種中高層住居専用地、ウ)道路は補助幹線道路と位置づけられ、さらにエ)鉄道や公園等の存在も認められないため、「その地域」には当たらないと判示して棄却している。

(2012.06.20東京地裁判決、平成21年(行ウ)第486号)