宅地と隣接する借地権は1画地の宅地としての評価が相当
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:03/17/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権の評価方法が争われた事件で国税不服審判所は、宅地と借地権を一体で評価することが相当であると判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人らが、1)請求人の1人が相続により取得した宅地で隣接する借地とともに貸家の敷地の用に供していたものの価額について、宅地のみを財産評価基本通達7-2(評価単位)(1)に定める1画地の宅地として評価し、2)債務控除の際に、賃貸建物に係る預り保証金の返還債務について預り保証金の元本額を債務の金額として、相続税の申告をしたのが発端となったもの。

 これに対して原処分庁が、土地及び債務の評価誤りがあることなどを理由に、相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その一部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 請求人らは、相続により取得し、隣接する各借地とともに貸家の敷地として利用していた宅地の価額は、各借地に係る借地権は相当の地代の支払いにより、その価額が零とされ、財産的価値がないことを理由に、財産的価値がない使用借権が設定された場合と同様、宅地のみを同通達に定める評価単位(つまり1画地の宅地)として評価すべきと主張したわけだ。 

 しかし裁決は、各借地に係る借地権は借地借家法上の借地権であり、被相続人は各借地を継続的かつ専属的に利用できる権利を有し、相続開始日において、宅地と各借地を併せて貸家の敷地としてその全体を一体利用していたのであるから、借主の死亡が終了原因とされ、人的繋がりのみを基盤とする使用借権が設定された場合と同一に見ることはできないと指摘。結局、宅地の価額は、隣接する各借地と併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として評価することが相当であると判断、審査請求を棄却した。

(2014.04.22国税不服審判所裁決)