地積は広大でも公共公益的施設用地の負担は必要ないと認定
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:06/05/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 相続した土地が広大地に該当するか否かの判定が争われた事件で、金沢地裁(冨上智子裁判長)は地積が広大であるのは確かなももの、新たに公共公益的な施設等の用地を負担する必要性は認められないから広大地評価には当たらないと判示、納税者の主張を斥けた。

 この事件は、土地等を相続した納税者の相続税の申告を原処分庁が否認して更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、納税者が土地に対する原処分庁の過大評価を理由にその取消しを求めて提訴していたもの。争点となっていたのは、広大地に該当するか否かにあった。具体的には、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地に当たるか否か、また広大地に求められる公共・公益的な施設用地の負担が求められるか否かにあったわけだ。

 納税者側は、著しくとはあくまで個別具体的な事情、例えば時価の意義や広大地減額補正の必要性に照らしてケースバイケースで判断すべきであり、開発指導基準による面積基準が500平方メートルになっていることからも、広大地に該当することは明らかであり、広大地として評価減すべきであると主張した。

 これに対して判決は、相続した土地は870平方メートルを超え、その地域における標準的な宅地の面積(400平方メートル)に比較しても地積が広大であるのは確かと認定。しかし、公共公益的施設用地の負担についての解釈を示した上で、各土地はほぼ正方形であるため2分割すればいずれの土地も正面路線に接するから、道路等の新たな公共公益的施設用地を負担する必要性があるとは認められず、広大地には該当しないと判示、請求を棄却している。

(2006.04.10 金沢地裁判決、平成17年(行ウ)第3号)