共有地でも利用状況等から一つの評価単位としての評価が妥当
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:08/27/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 一部共有状態の雑種地の全体を一つの評価単位によって評価すべきか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、堅固な立体駐車場の敷地として一括で貸付けの用に供されていたことなどから、遺産分割の前後を通じて単独所有と同一の用途に供される蓋然性が高いという認定の下、その利用状況、権利関係等を考慮すれば、全体を一つの評価単位として評価すべきであると判断、原処分を全部取り消した。

 この事件は、審査請求人らが相続した複数の土地のうちの一部が広大地に該当すると判断して更正の請求をしたところ、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分をするとともに、相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたのが発端。そこで請求人らが各処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁は、請求人らが相続した雑種地の一部が共有者の有無及び共有持分の割合が異なる事実関係を重視して、5区画に区分した評価単位で評価すべきであり、開発許可を要する面積の基準を上回る1区画のみを広大地として評価すべきであると主張。しかし請求人らは、一部の雑種地が共有にはなっているものの、全体が賃貸され、立体駐車上の敷地として利用されていた土地であるため、全体を一つの評価単位として評価すべきであり、広大地として評価すべきであるとも反論した。

 これに対して裁決は、各雑種地は立体駐車場の敷地として一括で貸し付けられ、一括して貸付けの用に供されていた事実を認定。その結果、遺産分割後も同一の用途に供される蓋然性が高く、一部が共有地であることによる使用、収益及び処分の制約が実質的にはないものと認められるため、その利用状況、権利関係等からも全体を一つの評価単位によって評価すべきであると判断した。
 
 しかし、各雑種地をその地域の標準的使用に係る敷地の地積に区分したとしても、開発行為を行うに際して公共的かつ公益的施設用地の負担が必要であるとまでは認められないと指摘して各雑種地は広大地には該当しないものとして評価すべきであると指摘、結果的に全部取消しの裁決内容になった。

(国税不服審判所、2012.12.13裁決)