親族関係の有無に関係なく相続税法7条の適用は可と判断
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:06/07/2005  提供元:21C・TFフォーラム



第三者間の取引であればみなし贈与の認定は行われないというのが一般的な感覚だが、第三者間における土地の売却に対して原処分庁が譲受者側に相続税法7条を適用(つまり低額譲受の認定)したことの可否が争われた事件で、さいたま地裁(豊田健夫裁判長)は公開された一般的な市場で財産を取得したような場合には当たらないと認定して原処分庁が行った相続税法7条の適用は妥当と判断、納税者の主張を棄却する判決を下した。

 この事件は、原告の納税者が土地区画整理事業の対象になっている地区内の土地を第三者から低額で譲り受けたことが発端になったもの。その譲受価額が時価の6分1程度だったため、原処分庁が相続税法7条の低額譲受に該当すると判断して相続税法7条を適用、時価と実際の売却価額との差額相当分に対して贈与税の決定を行うとともに、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、納税者が第三者間の取引であるから相続税法7条の適用はないと主張して提訴、原処分の取消しを求めていたという事案だ。

 これに対して判決は、売主が公開された市場と同視できるような状況で買主を誘致した証拠もなく、売買契約の内容を見ても相続税法基本通達7-2の「公開された市場」において財産を取得した場合には当たらないと指摘。また、相続税法7条を適用するに当たっては、著しく低い価額による財産の取得をして担税力が増加したと認められる状況があれば足り、売主が買主と親族関係にあるか否か等の事情は関係ないと解釈して、納税者の主張を斥けている。ただし、原処分庁認定の土地の時価は適正でないと認定、裁判所認定額を上回る部分については原処分を取り消すという内容の判決を下した。

(2005.01.12 さいたま地裁判決、平成13年(行ウ)第46号)