赤字法人調査で不正件数の半分は実は黒字法人
カテゴリ:01.法人税 トピック
作成日:11/16/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 先に公表された国税庁の平成27事務年度法人税調査事績では、実地調査件数が減少したものの追徴税額は増えており、効果的・効率的な調査により申告漏れ等を把握していることがうかがえるが、国税当局では納税者の公平感を著しく損なう“無申告法人”“無所得法人”に対しても厳しく目を光らせている。

 同事務年度でも、収集した資料情報から事業を行っていると見込まれる稼働無申告法人2555法人に対し実地調査を行い、法人税46億円、消費税40億円の合計86億円(加算税等を含む)を追徴課税している。そのうち、稼働している実態を隠し意図的に無申告をしていた法人が312件含まれており、法人税22億円及び消費税8億円の30億円を追徴している。

 その中には、事業を営んでいると思われる情報を把握した税務署が、再三自主的な申告・納付を行うよう指導していたにもかかわらず、設立以来無申告だったことから調査を行い、7年分で法人税2億5800万円の申告漏れ所得金額を把握、重加算税を含め法人税・消費税1億3000万円を追徴している。

 一方、申告はしているものの赤字としていた法人3万3000件に対して実地調査を行った結果、73%当たる2万4000件から3011億円の申告漏れ所得金額を把握し212億円を追徴課税している。また調査した約4件に1件となる8000件が不正を働いており、その不正所得金額は1000億円となるとともに、半数の4000件は実は黒字法人だったことも明らかになっている。