請求人の行動を総合考慮、重加算税の賦課要件を満たすと判断
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:01/24/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 法定申告期限までに確定申告書を提出しなかったことをめぐって、国税通則法の「正当な理由があると認められる場合」に該当するか否か、さらに重加算税の賦課要件を満たすか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からも伺い得る特段の行動をしたものといえるので、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったのは重加算税の賦課要件を満たすと判断して原処分の取消請求には理由がないと斥けている。

 この事件は、医業及び不動産賃貸業を営む審査請求人が法定申告期限後に所得税の確定申告書を提出したところ、原処分庁が国税通則法に定める重加算税の賦課要件を満たすとして重加算税の賦課決定処分を行ってきたため、その全部取消しを求めた事案。請求人は当然、所得税については申告の意思を持ってその準備をしていた、また消費税については経理業務の委託先が申告してくれるものと誤認していたことなどを理由にあげて、重加算税の賦課要件は満たしていないと主張して、原処分の取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、重加算税の賦課要件が満たされる場合を具体的に解釈した上で、請求人は法定申告期限から7年経過すれば所得税等の納付から免れることができるとの認識を持った上で、経理業務の委託先から確定申告手続きの税理士への委任の要否を問われてこれを断り、連年にわたり多額の収入金を得ていながら無申告を続けていたと認定。

 また、当初から課税標準及び税額等を申告しないことを意図、その意図を外部からも伺い得る特段の行動をしたものといえるとも認定、その意図の下に期限内申告書を提出しなかったことは重加算税の賦課要件を満たすと判断した。裁決が最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決と同様の法令解釈を行うとともに、法定申告期限までに納税申告書を提出しなかった請求人の行動を総合勘案した上で、賦課要件を満たすと判断した事案である。

(国税不服審判所、2011.06.03裁決)