来年1月から質問検査権がパワーアップ
カテゴリ:08.国税通則法 トピック
作成日:12/13/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 新調査体制がいよいよ来年1月から稼動する。平成23年12月の国税通則法改正では、これまで各税目に分散されていた「質問検査権」の規定が“手直し”された上で国税通則法に集約された。

 この質問検査権の整備は、法人税調査を強化させたい国税庁が平成23年度税制改正に向けた「意見」として掲げていたものだ。現行の所得税法では、いわゆる本体調査に係る質問検査権と反面調査に係る質問検査権が1つの条文に組み込まれ、そのいずれについても「帳簿書類その他の物件を検査することができる」と規定されている。

 これに対し法人税法では、本体調査に係る質問検査権と反面調査に係る質問検査権とが2つの条文に分かれており、本体調査に係る規定(153条)では、検査できる範囲について「帳簿書類その他の物件」とされているのに対し、反面調査に係る規定(154条)では、今年3月までは「帳簿書類」とされているのみだった。このため、調査対象法人の取引先や銀行などへの反面調査の現場で伝票類などの確認を拒否された際、調査官が説明に苦慮していたという。

 そこで国税庁は、文理解釈上も誤解が生じないよう、本体調査と反面調査で検査できる物件を「帳簿書類その他の物件」に統一する必要があると要望。こちらは平成23年度税制改正で実現し、平成24年4月1日に施行されている。

 今回の国税通則法の改正は平成23年度改正をさらに進化させたもので、税目横断的に、また、本調査と反面調査の区別なく質問検査権が行使できるとする内容(国税通則法74の2~74の6)。また、旧法に明記されていた「質問」、「検査」に加え、新たに「帳簿書類その他の物件の提示もしくは提出」を求めることができることとされ、さらに必要があれば「留置」することも可能となった。不提示や不提出には罰則規定まで設けられている。

 上記の改正国税通則法は、平成25年1月1日以後に開始する税務調査からの適用。来年から税務調査シーンが大きく変わりそうだ。