「事前通知」の省略が続出、国税通則法に抜け道
カテゴリ:08.国税通則法 トピック
作成日:07/11/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 国税通則法改正によって税務調査の「事前通知」が義務化されて半年が経過した。

 国税通則法(74条の10)には、実地調査に着手する前に、納税義務者と税理士に対して事前通知を行うことが明記されている。事前通知の内容は、1)調査を開始する日時、2)調査を開始する日時において質問検査等を行う場所、3)調査の目的、4)調査の対象とする税目、5)調査の対象となる期間、6)調査の対象となる帳簿書類その他の物件7)その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項。

 通知した項目以外の調査はできないだけでなく、通知内容の一つでも欠けていれば調査自体が違法になる。この事前通知の義務化によって、納税者に有利になるのではと期待されていたが、新体制がスタートして半年が経過した現況をみると、どうやらそうでもなさそう。事前通知の規定には、税務署側に有利な抜け道が用意されているからだ。

 国税通則法の事前通知の規定には、「税務署等が保有する情報から、事前通知をすることにより正確な事実の把握を困難にする、または調査の適正な遂行に支障をおよぼすおそれがあると認められる場合」には、事前通知せずに税務調査ができる旨が書かれている。これにより、過去に申告漏れや書類不備が指摘されたケースなどは事前通知が省略されているという。

 国税通則法の解釈は税務署によって微妙に異なるようで、所轄税務署が「守り」に入るタイプか「攻め」のタイプかで明暗が分かれるところ。事前通知がなかった場合、または事前通知されていない範囲の調査に対しては、非違が疑われる理由について説明を求めることもできる。これからは調査を受ける側も国税通則法を一読し、過剰調査に飲み込まれることのないよう心してかかる必要がありそうだ。