相続した土地は建ぺい率・容積率からマンション適地に該当
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:09/07/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 相続で取得した土地がいわゆるマンション適地等に当たるか、つまり広大地評価が可能か否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は中高層の集合住宅等を建設することが可能であるなどの理由から、広大地評価は認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、相続で取得した土地(1075平方メートル)の評価をする際に広大地評価を適用して求められた評価額を課税価格に含めて相続税の申告をしたところ、原処分庁が広大地評価の適用を否認してきたため、その取消しを求めて審査請求していたもの。

 というのも、土地が存する地域の状況や個別的要因を考慮すれば、中高層の集合住宅等の敷地として利用することはなく、建築資金が少額でリスクの小さい戸建て住宅の敷地として利用することが最有効使用になるという請求人の判断が働いたからだ。

 しかし裁決は、用途地域が住宅地域から近隣商業地域に変更され、建ぺい率(80%)、容積率(300%)から中高層の集合住宅等の建設が可能であること、1000平方メートル以上の土地に開発行為をした場合に公共公益的施設の負担が必要な開発が行われていないこと、相続開始前10年間において、戸建住宅よりむしろ中高層の集合住宅等が多く建設されている事情などを認定。その上で、土地の形状、接面道路の幅員、接する距離、県道・国道との距離に加えて容積率などから、中高層の集合住宅を建築することに特段の支障を来す状況は見受けられないと指摘した。

 さらに、地域内に11Fの事務所ビルが建築されており、土地と同規模の土地が細分化されることなく一体で利用されている事実も指摘。これらの事実を総合勘案すれば、マンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24-2に定める広大地として評価することは認められないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.12.15裁決)