家屋の敷地に供されているかは賦課期日の土地の現況で判断
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:04/19/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 新家屋の建築工事が進行中の敷地に対する固定資産税等の軽減特例の適用の有無が争われた事件で、最高裁(千葉勝美裁判長)は、固定資産税の賦課期日において居住用家屋となる予定の新家屋の建築工事が進行中であることが客観的に見て取れる状況にあったと認定、平成17年度分の固定資産税等の賦課決定処分を破棄する判決を言い渡した。

 この事件は、200平方メートル以下の土地上に家屋を有する者が、旧家屋を取り壊して新家屋の建築工事に着工したものの、多数の瑕疵の存在の判明や、近隣住民の反対から工事が進捗しないまま2年弱が経過、結局、建築工事を請け負った訴外会社にその土地を譲渡したことが発端。そこで、土地の所有権移転を把握した都税事務所の職員が再度、現況調査して軽減特例の適用はないと判断、当初処分の固定資産税等と軽減特例の適用がない場合の固定資産税等との差額分を賦課決定してきため、その取消しを求めていた事件だ。

 上告審は、土地が敷地の用に供されているか否かは、その年度の固定資産税の賦課期日における土地の現況によって決すべきであると指摘した上で、居住用家屋となる予定の新家屋の建築工事が現に進行中であることが客観的に見て取れる状況にあったと認定。その結果、新家屋の建築工事の中断、建築途中の新家屋と土地の譲渡という事態が生じたとしても、遡って賦課期日において敷地の用に供される土地でなかったことになるものではないと判断して、賦課決定処分を破棄した。

 しかし、翌年18年度分については、建築工事が中断したまま、新家屋の完成を客観的に見て取れる事情も伺われず、居住用家屋の敷地に供されている土地に当たるとは言えないと認定、固定資産税等の軽減特例の適用はないとした賦課決定処分を適法と判断して、18年度分については上告を斥けている。

(最高裁第二小法廷、2011.03.25判決、2009年(行ヒ)第154号)