第三者に転売された場合の優宅特例の適用はNO
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:02/16/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 適用要件が殊更に厳しいのが、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例だ。最近、譲渡者に瑕疵がない場合に同特例の適用が否認される場合が増えており、審査請求や訴訟に至る事案も増加傾向にある。同特例の適用の可否が争われていた事件で、横浜地裁(浅野正樹裁判長)は税負担の公平の見地から解釈適用は厳格さが求められると判示、納税者が起こしていた所得税更正処分の取消請求を真っ向から棄却した。
 この事件は、納税者が一団の住宅等の建設を行う個人や法人に対する土地等の譲渡いわゆる11号譲渡を適用して申告したところ、原処分が特例の適用を否認、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたため、その取消しを求めて訴訟を提起していたというもの。問題は、土地の譲受人が住宅等の建設を行わずに第三者に転売、その第三者が住宅等を建設した場合でも同特例の適用が認められるか否かという点にあった。
 そこで、納税者は転売契約は虚偽表示や心理留保にあたり無効である。契約の実質が譲渡担保、建物の建築請負契約である、税務職員も特例の適用を認めていた、ことなどを理由にあげ、特例の適用は認められるべきであると主張していた。
 しかし横浜地裁は、同特例の趣旨が優良住宅地の供給や公共用地の取得の促進にあり、土地等の転売にまで適用を認めれば立法趣旨を損なう恐れがあると解釈するとともに、譲渡担保契約や請負契約であるとも認められないと指摘、納税者の主張を真っ向から否定している。土地の流動化が叫ばれる昨今、納税者に瑕疵がなく、かつ結果的に優良住宅地等に供された場合にまで特例の適用を否定することには不満も多く、納税者は控訴中。
 (1997.9.29横浜地裁判決、平成7年(行ウ)第13号)