営業権の評価に評価通達により難い特別な事情はないと裁決
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:03/16/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 取引相場のない株式の評価をめぐり、株式の発行法人が有する営業権を財産評価基本通達によって評価すべきか否かその判断が争われた事件で国税不服審判所は、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は審査請求人らが贈与された株式の価額を評価通達の定めに基づいて算出した1株当たりの純資産価額に基づいて贈与税の申告をした後、1株当たりの純資産価額を計算する際に、資産の部に計上した営業権の価額に誤りがあったため株式の評価額が過大になったとして更正の請求をしたところ、原処分庁が営業権の評価額を減額する理由はなく更正すべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求していたもの。

 つまり請求人らは、営業権の評価方法の計算要素である1)営業権の持続年数が異常に長い、2)平均利益金額を求める期間が3年と長い、3)総資産価額に乗じる率が低い、4)基準年利率を基とした複利年金現価率は妥当でない、といった理由から、所要の補正を行って営業権を評価し直すと、原処分庁算定の1株式当たりの価額が時価を超えることから、評価通達により難い特別な事情があると主張、原処分の取消しを求めたわけだ。

 これに対して裁決は、営業権の評価における評価通達が定めた各計算要素について請求人らが主張するような補正すべき理由はなく、補正して算出した価額も株式の時価であるとはいえないと指摘した。結局、評価通達の定めによらないことが正当と認められるような特別な事情がある場合とはいえないとして審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.10.23裁決)