慰留分権利者の提出期限の起算日も一般の相続税と同様
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:10/02/2000  提供元:21C・TFフォーラム



 遺留分減殺請求権を行使して取得した土地に対する取得費加算特例の適用の有無が争われていた事案で国税不服審判所は、譲渡が法定申告期限の翌日以後2年経過後のものであると認定、同特例の適用は認められないという原処分を支持する裁決を下した。
 この事案は、被相続人の遺言が審査請求人等(遺留分権利者)には何らの財産も相続させないという内容だったことから遺留分減殺請求訴訟を提起したのが発端。原審でその主張が認められたため、逆に遺留分義務者が控訴、上告したものの棄却されたことから、相続開始後10年経過後に原審通りの判決内容で争いが確定した。この判決を受けて審査請求人が宅地を取得するとともに譲渡、取得費加算特例を適用して申告した。この申告に対して、原処分庁が同特例の適用を否認、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、請求人がその取消しを求めていたという事案。つまり、取得費加算特例の適用にあたっては「相続の開始があったことを知った日」を「遺留分減殺請求訴訟の判決が確定した日」と読み替えて適用すべきであると主張して、原処分の取消しを求めていたものだ。
 この主張に対して裁決はまず、遺留分権利者の相続税の提出期限の起算日についても、一般の相続税と同様に考えるべきであると指摘。これは、遺留分権利者における「相続の開始があったことを知った日」とは、自然死や擬制死を覚知して相続財産の一定額を不可侵的に取得できる地位に立ったことを知った日とするのが相当であるという解釈だ。そのため、自ら遺留分減殺請求を行って遺留分を確定的に確保した日とか、遺留分減殺請求訴訟の判決によって相続財産を取得した日ではないと指摘、審査請求人の主張を斥けた。
(国税不服審判所、1999.5.20裁決)