純資産価額計算上の51%控除適用の否認は妥当と判示
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:07/07/1997  提供元:21C・TFフォーラム



 非上場株式等の純資産価額を計算する際の法人税等相当額いわゆる51%控除の是非をめぐる訴訟が増加している。そうした動きの中で、大津地裁は51%控除を否認、原告(納税者)の主張を全面的に斥ける判決を下した。大阪や東京で今後に判決が予定されている51%控除訴訟にも微妙な影響が出てくるものと指摘されている。
 この事件は、相続財産である有限会社の出資の純資産価額を計算する際に、原処分が財産評価基本通達に定められた評価差額に対する法人税等相当額(51%)を控除しないのは違法であると主張、更正処分等の取消しを求めて争われていたもの。
 判決は、まず、特定の納税者や相続財産にのみ評価通達以外の方式によって評価することは原則として許されないとしつつも、税負担の公平を著しく害することが明らかな「特別の事情」がある場合には、他の合理的な時価評価によることも許されると解釈。また、相続人等の一連の行為は租税負担の軽減が目的であり、経済的合理性は見出されないと認定し、そのような場合にまで財産評価基本通達に基づく評価方法を適用することは相続税法22条(時価)の趣旨を没却することになると同時に、相続税法の立法趣旨に反し、同通達によるない評価、つまり「特別な事情」が認められると判示している。

 さらに、時価を算定する際には相続開始後の事情や租税回避目的の有無を考慮することは当然と解釈、納税者の主張を真っ向から斥けている。予測可能性・法的安定性からの問題の残る判決という見方もあるが、納税者が控訴、その是非は高裁で改めて争われる。(平成9年6月23日判決)