人格のない社団の出資の評価は純資産価額方式が妥当
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:12/20/2000  提供元:21C・TFフォーラム



 人格のない社団に対する出資の評価は売買実例価額によるか、純資産価額方式によるかその判断が争われていた事案で、国税不服審判所は企業組合の出資の評価に準じて純資産価額方式による評価が相当であり、その際、評価差額に対する法人税等相当額の控除も認められないと判断、請求人の主張を斥けた。
 この事案は、審査請求人が相続したある組合の出資を売買実例価額で評価して申告したことに対して、原処分庁が純資産価額方式による評価で計算し直して更正してきたことから、過少申告加算税の賦課決定処分の一部取消しを求めていた事例。請求人が主張した売買実例価額は、出資一口の年配当金額から源泉所得税相当額を控除後の金額の30年分に相当する金額であり、その金額は第三者間の自由な取引で成立した金額であって客観的な交換価値を反映したものであるというものであった。
 しかし裁決は、請求人が主張する売買実例価額は組合員という限定された市場の希少な事例であり、客観的な交換価値を反映したものであると認めることはできないと排斥。また、組合員が個々の組合財産について持分権や分割請求権を有していないことから、出資の価額は法人格を有する団体の株式や出資の評価方法の定め、つまり純資産価額方式に基づく評価が合理的であると指摘するとともに、人格ない社団については清算所得に対する法人税等の課税は行われないことから評価差額に対する法人税相当額の控除も相当でないと判断して、請求人の主張を斥けている。しかし、審判所認定額が更正処分の額を下回ることになったため、その一部については取消しを認める裁決を下した。
(国税不服審判所、1999.11.11裁決)