優宅特例の地位の承継をめぐる訴訟で納税者また敗訴
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:04/13/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 譲渡人自らが都市計画法の開発許可を受けた上で土地を譲渡した後、譲受人がその開発許可に基づく地位承の承認を受けた場合でも、いわゆる優良住宅地のための譲渡特例が適用できるのか否かが争われていた事案で、浦和地裁(大喜多啓光裁判長)は譲渡人が取得した開発許可に基づく地位を土地の譲渡とともに譲受人に承継させる場合には同特例は適用できないと判示、納税者の主張を全面的に斥ける判決を下した。
 これは、原告が都市計画法の開発許可を取得して土地を法人に譲渡したのが発端になっている。譲渡後、原告から譲受法人に開発許可の地位承の承認申請が行ったところ市から地位承の承認がおりたことから、同特例を適用して申告。しかし、原処分庁が更正処分をしたため、その取消しを求めて争われていたという事件だ。
 浦和地裁はまず、平成元年の改正で同特例には従来からの開発許可に基づく地位の承継に加えて、地位の承継(一般承継)があった場合の承継人、被承継人に対する譲渡も含まれることになった点を指摘。その改正の趣旨を踏まえ、開発許可に基づく地位の承継は優良住宅地の造成等のための譲渡の相手方、譲渡を予定した相手方において生じたものに限られると解するのが相当と解釈している。その結果、平成元年の改正後も、譲渡人が開発許可に基づく地位を取得して、これを土地の譲渡とともに譲受人に承継させる場合にまでは同特例は適用されないと判示して、納税者の主張を斥けたわけだ。条文の構成・文書の曖昧さがもたらした訴訟ともいえるが、納税者には不満の残る判決といえよう。
(1998.2.23浦和地裁判決、平成9年(行ウ)第4号)