評価基準で対応できなければ個別評価すべきと示唆
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:09/13/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 都内の商業地に土地を保有する納税者が固定資産評価審査委員会に固定資産税評価額の見直しを求めた審査申出案件に対して、同委員会が棄却したことの違法性の有無が争われた事件で、東京高裁(千葉勝美裁判長)は原審に続き、固定資産評価審査委員会の主張を全面的に斥ける判決を下した。

 この事件は都内の赤坂等の商業地に土地を保有する納税者が、2件の売買実例価額等を根拠に固定資産税評価額が高すぎると判断、東京都の固定資産評価審査委員会に審査申出をして見直しを求めたことが発端になっていたもの。ところが、この審査申出を同委員会が棄却したため、納税者が同委員会の決定は審理を尽くしておらず違法なものと主張して提訴したわけだ。

 これに対して東京地裁は、納税者の主張を認める判決を下したことから、東京都側が控訴して、原審判決の取消しを求めていたという事案だ。控訴審で同委員会側は特段の事情がない限り、公的価格の合理性が推定されると主張した上で、委員会が検討すべきものは評価基準による評価方法では適切に価格を算定できない特別の事情がある場合に限られると反論を展開した。

 しかし控訴審も、納税者から特別の事情が具体的に出されているにもかかわらず、同委員会はこれを無視して審査決定の適法性を立証していないと指摘。つまり、時価を上回る可能性がある場合は、取引事例を調査して評価手法の変更、評価のやり直し、基準で対応できなければ個別評価すべきであると示唆、委員会側の対応を批判する内容になっている。

(2005.07.13 東京高裁判決、平成16年(行コ)第117号)