資産評価企画官情報に基づく評価は合理的と判示
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:04/11/2000  提供元:21C・TFフォーラム



 相続財産である宅地(不整形地)の評価方法の適否をめぐって争われていた相続税更正処分等取消請求控訴事件で、東京高裁(伊藤螢子裁判長)は原処分庁が更正した評価額は合理的で、時価を上回るものでもないと認定、原審同様、納税者の取消請求を棄却した。
 この事件は、相続税の申告の依頼を受けた税理士が不整形地の評価にあたって、過去に申告に関与した類似事例に基づいて不整形地補正率を算出して申告したのが発端。これに対して、原処分庁が財産評価基本通達、相続税財産評価基準、個別事情のある財産の評価等の具体的な評価について(いわゆる東京通達)を基に評価額を訂正、更正処分等をしてきたため、その取消しを求めて訴訟を提起したものの、一審の千葉地裁が原告の主張を斥けたことから、控訴に及んでいたという事案である。
 しかしながら、控訴審も原審の理由説明を引用するとともに、一部付加した上で、
訴を棄却している。結局、平成4年に国税庁が公表した「不整形地補正率について」という資産評価企画官情報が、単に宅地の形状だけでなく宅地の存する地区や不整形の程度、位置、地積の大小等の数多くの要素を考慮して不整形地補正率を定めているもので、相続財産の時価評価の方法に関するものとして合理的なものであると指摘。そうである以上、同情報に基づいて、係争宅地に係る不整形地補正率を算定した上で求められた各宅地の評価額はいずれも合理的であり、時価を上回るものではないという理由からの棄却だ。
 (平成11年8月30日東京高裁判決、平成10年(行コ)第198号)