割引発行の公社債は源泉所得税相当額を控除して評価
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:07/13/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 平成25年度税制改正において、公社債等に係る所得に対する所得税の課税方式が見直され、平成28年1月1日以後に発行される割引発行の公社債の償還差益に係る源泉徴収は、発行時ではなく償還時に行うこととされた。そこで国税庁は財産評価基本通達を改正し、割引発行の公社債の評価について、その差益金額につき源泉徴収されるべき所得税相当額がある場合には、その金額を控除した金額によって評価することとした。

 割引発行の公社債の評価の従来の取扱いについては、1)金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債、2)日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された割引発行の公社債(金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債及び割引金融債を除く)、3)1)又は2)に掲げる割引発行の公社債以外の割引発行の公社債、の区分に従い、原則として市場価額を基に評価することとしている。

 これまで、割引債の償還差益に係る所得に対する課税については、割引債の発行時に源泉徴収することとされており、個人については他の所得と分離して源泉徴収のみで課税が終了する源泉分離課税とされ、割引債の譲渡所得は非課税とされていた。しかし、平成25年度税制改正により、割引債を含む公社債の譲渡による譲渡所得に対して所得税を課税するように改められた。

 これに伴い、平成28年1月1日以後に発行される割引債の償還差益に係る所得税の源泉徴収については発行時ではなく、利付公社債の利子と同様に償還時に行うこととされたわけだ。このように従来は、割引発行の公社債の償還差益に係る所得税相当額は発行時に源泉徴収されていたため、評価通達上、当該所得税相当額に係る取扱いは明記されてこなかった。

 しかし、平成25年度改正を受けて、割引発行の公社債の償還差益に係る源泉所得税相当額が、発行時ではなく償還時に源泉徴収がなされる場合が生じることとなることから、このような場合の償還差益に係る源泉所得税相当額については、評価上、考慮する必要が出てきたのだ。そこで、割引発行の公社債の評価について、差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、その差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額を控除した金額によって評価することとしたわけだ。