税法の不知は正当な理由がある場合には該当しないと裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:03/08/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 年の中途に亡くなった被相続人に係る所得税の確定申告書を、相続人が法定申告期限までに提出しなかった事案をめぐり、国税通則法66条1項のいわゆる「正当な理由」の有無が争われた事案で国税不服審判所は、請求人の主張は無申告が税の不知を理由とするもので正当な理由の存在は認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、年の中途に亡くなった被相続人の共同相続人が、被相続人に係る所得税の申告書に被相続人の所得税の納付税額を被相続人の妻がすべて承継する旨を記載して1年後に申告したことが発端。これに対して、原処分庁が法定申告期限後の申告と認定、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、請求人が原処分の取消しを求めていたという事案だ。

 審査請求人らは、所得税の確定申告書の提出が求められる被相続人が年の中途で死亡した場合の申告期限が相続開始を知った日の翌日から4ヵ月以内であることを知らなかったのは税務当局の広報不足にあり、無申告加算税を賦課しない場合の「正当な理由」に該当すると主張して、原処分の取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、税法の不知は「正当な理由」があると認められる場合の事由には該当しないと指摘。また、申告は本来、納税義務者が自らの判断と責任においてなすべきものであり、無申告加算税を賦課しない場合の正当な理由があると認められるか否かの判断は、税務当局の広報活動の有無によってなされるものでもないと示唆、審査請求を棄却した。
つまり、疑問があれば最寄りの税務署に確認ができたという考えからだ。納税者は税務署へ事前に何らかの確認、相談をするのが肝要であることを示唆する裁決となった。

(国税不服審判所、2003.12.09裁決)