不服申立中の義務的修正申告書の未提出も正当と裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:06/15/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 不服申立中のためいわゆる義務的修正申告書を提出しなかった場合にも、過少申告加算税が課されない場合の正当な理由に該当するか否かが争われていた事案で、国税不服審判所は不服申立中にその提出を求めることは法が不服申立てを認めた趣旨を没却するものであると指摘、過少申告加算税の賦課決定処分を取り消すべきであると裁決した。
 この事案は、買換特例の買換産の取得をできなくなった場合に義務的修正申告書の提出を求められる納税者が不服申立のため提出できなかったことが発端。つまり、義務的修正申告書の提出は更正処分に係る税額が修正申告に係る税額を上回ることになり、結果的に不服申立てが係属中の更正処分を認めることになると同時に請求人自らの利益を著しく害することになるからだ。これに対して原処分庁は、修正申告の期限までに請求人から申告しなければならない旨の申立て、また不服申立中の取消請求額減殺の意思表示がされていないことを指摘。その上で、調査によって買換資産が購入されていない事実が判明したことから再更正処分したものであると反論していた。
 しかし、審判所は更正処分に係る不服申立中に義務的修正申告書の提出を予定することは、法が不服申立てを認めた趣旨を結果的に没却することになると指摘。したがって、請求人が修正申告書を提出しなかったことについてやむを得ない事情があったと認定、こうした場合は国税通則法65条の「正当な理由」に該当すると判断、過少申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消している。
(国税不服審判所、1997.6.30裁決)