遺留分減殺請求のあった日は和解が成立した日と判決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:03/15/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 相続税の更正の請求をすることができる期間の起算日の判定をめぐって争われていた事件で、国税不服審判所は遺留分減殺請求訴訟の和解が成立した日と解釈、納税者が求めていた相続税の更正処分取消請求を棄却した。
 この事案は、請求人が共同相続人の1人(A)に対して遺留分減殺請求訴訟を提起したところ、Aが請求人に現金を支払うことで和解が成立。この和解を受けて、Aは減額更正の請求をしたわけだ。ところが、原処分庁がこの減額更正の請求を認める一方で、請求人に対しては増額更正処分を行ったため、請求人がその取消しを求めていたもの。請求人は、遺留分減殺請求訴訟の提起は和解が成立する数年前にされたもので、Aの減額更正の請求は法定の期限を徒過した違法なものであるから、こうした違法な減額更正の請求を前提にした請求人に対する更正処分も、当然に違法だと主張していた。つまり、請求人が遺留分減殺請求訴訟を提起した数年前の時点で、既にAは減殺の請求があったことを知っていたと主張したかったわけだ。

 これに対して、不服審判所は遺留分の減殺請求があったこととは、遺留分減殺請求訴訟における和解等によって共同相続人の取得財産の範囲が確定したような場合は、和解等が成立した日になると解釈。というのも、和解が成立しなければ相続税額の確定ができず、更正の請求をすべき申告額等も確定できないという不合理が生じるという解釈からだ。その上で、Aの減額更正の請求は和解の日の翌日から4ヶ月以内になされたもので適法であるとの指摘をする一方、原処分も妥当であるとの判断を下している。
(国税不服審判所、平成9年7月18日判決)