会計処理の選択誤りを理由にした更正の請求を裁決も否定
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:04/09/2002  提供元:21C・TFフォーラム



 固定資産の取得に係る不動産取得税等の税額を誤って取得価額に算入して申告した場合に、会計処理の選択誤りを理由に更正の請求が出来るか否かが争われていた事案で国税不服審判所は、会計処理の誤りは国税通則法が定める更正の請求が認められる場合には当たらないと判断、審査請求を棄却する裁決を下した。

 この事案は、土地と事業用ビルを取得した不動産売買業を営む審査請求人が、不動産取得税額と固定資産税額をビルの取得価額に算入して固定資産勘定に計上するとともに、残額の売り主に支払った固定資産税精算金を損金に算入して申告したことが発端になったもの。その後、会計処理の選択誤りを理由に更正の請求をしたところ、原処分庁が更正すべき理由がない旨の通知処分をしたため、請求人がその全部取消しを求めて審査請求していたという事案だ。請求人とっては、不動産取得税等の全額を損金に算入すると申告所得金額が大幅な欠損金額となるため、それを回避することが目的の会計処理だったようだ。

 これに対して裁決は、登録免許税等を固定資産の取得価額に算入することを請求人は確定申告時に選択しており、会計処理に誤りはなかったというべきであると示唆。しかも、会計処理の選択誤りは国税通則法23条1項1号が規定する更正の請求が認められる場合に当たらないことは明らかであり、いずれにしても請求人の主張には理由がないと一蹴、原処分庁が行った更正すべき理由がない旨の通知処分は適法であるとの判断を下した。税賠トラブル等にも発展しがちな性格を抱えた事例でもあるだけに、留意が肝要だ。

(国税不服審判所、2000.12.04裁決)