事前に仮装等の事実を明かにしても重加算税の処分は妥当
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:04/08/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 納税申告書の提出時に課税庁に対して自己の隠ぺい・仮装の事実を知らせていれば、重加算税の課税要件はなくなるのか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は重加算税の課税要件には何ら影響しないと解釈、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人の所得税の申告に際して、原処分庁が賃貸不動産の譲渡を自己の居住用不動産の譲渡とする等の隠ぺい・仮装の行為があったとして重加算税の賦課決定処分を行ってきたのに対し、請求人が事前に原処分庁所属の相談担当職員に対してその不動産に請求人等は居住していなかったこと等を明らかにしていることから、隠ぺい・仮装の事実はなくなったとして原処分の取消しを求めたもの。

 つまり、譲渡所得に関する相談の際に請求人が相談担当者に対して、特例を適用するために請求人等の住民登録を異動したことの事実等を説明しているのであるから、国税通則法68条1項に規定する「隠ぺい又は仮装」の事実はその時点でなくなったものであると主張していたわけだ。

 これに対して裁決は、重加算税は「隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき納税申告書を提出した」という国税通則法68条1項所定の課税要件を充足することにより成立するのであるから、たとえ申告書の提出時点において納税者が課税庁に対し、隠ぺい・仮装の事実を知らせていたとしても、重加算税の課税要件には何ら影響を与えるものではないと指摘、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2007.05.15裁決)