いわゆる4号該当事実は認められないと納税猶予の申請を否定
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:07/10/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 納税の猶予の申請をめぐり、国税通則法が定める「事業につき著しい損失を受けたこと」に該当する事実が有るか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、一定期間における損益計算を行うことにより判定することが相当であると指摘した上で、生活費等を控除して利益金額を算定すべきとする請求人の主張を斥けた。

 この事件は、家庭用電気器具小売業を営む審査請求人が納税の猶予の申請をしたところ、原処分庁が納税を猶予することができる事実がないと判断、納税の猶予不許可処分をしてきたため、請求人がその取消しを求めた事案である。

 請求人は、請求人の各年分の所得金額及び青色事業専従者給与の金額の合計額から生活費等を差し引いた利益金額がいずれも赤字となるから、国税通則法46条2項4号が定める納税の猶予が認められる「事業につき著しい損失を受けたこと」(いわゆる4号該当事実)の事実がある旨主張した。

 これに対して裁決はまず、所得金額及び青色事業専従者給与の金額の合計額から生活費等を差し引くという請求人の主張には法令上の根拠がなく、独自の見解であると否定。また4号該当事実に該当する損失とは単なる利益の減少ではなく、赤字が生じていると認められる場合のことを指し、また4号類似の5号該当事実となる売上げの減少等とは、著しい損失と同視できるような売上げの減少等をいい、売上げの減少等があれば全てが5号該当事実に当たるということはできないと指摘。さらに、請求人が主張した年分の売上金額の減少については、調査期間の売上金額が基準期間の売上金額より減少しているものの、その減少の程度が著しいとは言い難いとも指摘して、審査請求を棄却した。

(国税不服審判所、平成23年11月15日裁決)