更正の請求期間徒過後の非申請型の義務付けの訴えは不適法
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:07/31/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 過大申告だったため、更正の請求期間の徒過後、いわゆる嘆願を求めたものの更正されなかった場合に、税務署長が更正するよう命ずる非申請型の義務付けの訴えを提起することが適法か否かが争われた事件で、東京地裁(川神裕裁判長)は更正の請求期間が徒過した場合における行政事件訴訟法が定める非申請型の義務付けの訴えは、補充性の要件を欠き不適法であると解釈、訴えを却下した。

 この事件は、製薬会社等からの臨床試験等を請け負う法人が提訴したもので、更正の請求期間が徒過した後に過大申告を理由に更正を嘆願したものの、更正されなかったことから、非申請型の義務付けの訴えを起こして、更正すべき旨を原処分庁に命ずるよう求めたもので、更正の請求の排他性、また更正されないことで重大な損害が生ずる恐れがあるのか否かが争点になっていた事案である。

 法人側は、国税通則法には行政事件訴訟法(37の2)の適用を除外する明文規定が存在しないと指摘した上で、更正の請求期間の徒過後においても、要件を満たす限り、非申請型の義務付けの訴えを提起することができるから、税務署長は更正する義務を負うと主張していた。

 これに対して判決は、特段の事情がある場合に更正がされないことで生ずる恐れがある損害を避けるための他の適当な方法としては、錯誤に係る部分の無効を前提に誤納金の返還を求める公法上の不当利得返還の訴え又は未納付の租税債務の不存在確認の訴えがあると指摘。

 結局、更正の請求期間が経過した場合でも、税務署長に更正すべき旨を命ずることを求める非申請型の義務付けの訴えは、補充制の要件を欠く不適法なものと解するのが相当であると判示して、法人側の訴えを却下している。

(2012.02.28東京地裁判決、平成22年(行ウ)第341号)。