過少申告加算税の非課税の正当な理由を判示
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:06/03/1997  提供元:21C・TFフォーラム



 税法の改正、災害や盗難等の正当な理由が認められる場合には、過少申告加算税は非課税になる。また、調査によって更正されることを予知したものでなければ、修正申告の場合でも非課税になる(国税通則法65条)。譲渡所得の修正申告をめぐって、この過少申告加算税が賦課されたことにつき修正申告には正当な理由があり、かつ更正を予知したものではないことから過少申告加算税の非課税を主張、その取消しを求めて争われていた事件で、東京地裁(佐藤久夫裁判長)は原告の主張を全面的に斥ける判決を下した。
 まず、正当な理由がある場合とは、過少な税額の申告が納税者の責めに帰することができない客観的な障害に起因する場合など修正申告に真にやむを得ない理由があり、過少申告加算税の賦課が不当で、かつ酷になる場合を意味すると判示。その過少申告が納税者の税法の不知や誤解、単なる納税者の主観的な事情までは含まれないと解釈している。
 一方、更正を予知したものでないか否かについては、当該年分の譲渡収入の修正申告書を提出していないことを指摘。しかも、翌年分の所得税の確定申告書をもって前年分の所得税の修正申告書の提出とみなす法令上の根拠もなく、前年分の所得税の修正申告書が提出されていない以上、その余の要件について検討するまでもないと厳しく断じている。
 原告は、この判決を不服として控訴、現在、高裁で争われている。