申告の無効を理由にした更正の請求は不適法と判断、棄却
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:06/21/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 贈与税・相続税の申告行為の無効を理由にした更正の請求が認められるか否かの判断が争われた審査請求事件で、国税不服審判所は、国税通則法23条も相続税法32条も申告自体が無効であることを更正の請求の事由には掲げていないと解釈、審査請求を棄却した。

 この事件は、贈与税の申告は請求人本人の意思に基づいて提出されたものではないから無効であると主張する一方、相続税の期限後申告書の提出も請求人本人が関知していないことから無効であると主張して、贈与税・相続税の更正の請求をしたことが発端になっている。

 これに対して原処分庁が、更正の請求の期限徒過を理由に更正すべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、請求人が審査請求してその取消しを求めていた事案である。つまり、贈与税・相続税に係る申告の無効を理由に、更正の請求をすることが認められるか否かが争点の一つになっていたというわけだ。

 これに対して裁決は、贈与税・相続税の更正の請求に関しては国税に共通して更正の請求を規定している国税通則法23条と、贈与税・相続税に特有の更正の請求を規定した相続税法32条以外にはなく、国税通則法が定める更正の請求の事由には申告書及び申告自体が無効である旨を規定したものはないと指摘。

 また、贈与税・相続税の更正の請求に係る特則事由を定めた相続税法32条にも、申告自体の無効を更正の請求の事由とする規定は見当たらないと指摘した。結局、請求人が主張する「申告の無効」はこれらの更正の請求の事由には該当せず、申告の無効を事由とする更正の請求はいずれも不適法であるとして、審査請求を斥けている。

(国税不服審判所、2010.04.01裁決)