帳簿書類の押収は法定申告期限前であることが前提
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:07/19/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 法定申告期限から1年以上経過した後に出された更正の請求が、例外事項である帳簿書類の押収その他やむを得ない事情によるものか否かその判断が争われていた事案で、千葉地裁(原田敏章裁判長)は、帳簿書類等の押収等が修正申告前に生じていただけでは足りず、国税の法定申告期限前に生じていたことも必要であると解釈した上で、原処分庁が行った更正すべき理由がない旨の通知処分は妥当であると判示、納税者の主張を棄却した。
 この事件は、建築業等を営む法人がある事業年度の法人税を零とする期限後申告を行った後、査察調査を受けて帳簿書類を押収されるとともに告発されたのが発端。その後、修正申告に対する更正の請求をしたものの、原処分庁が更正の請求には理由がないとの通知処分をしてきたため、通知処分の取消請求をしていたという事案だ。
 納税者は、更正の請求は修正申告についてしたものであり、それ以前の申告についてなされたものではないと主張。また、修正申告書を提出した当時、帳簿書類が押収されていたため税額等を計算できなかったのであるから、やむを得ない事情が求められると反論して、通知処分の取消しを求めていた。
 これに対して千葉地裁は、国税通則法施行令6条1項3号の帳簿書類の押収その他やむを得ない事情は、修正申告がされている場合においては修正申告前に生じていただけでは足りず、国税の法定申告期限前に生じていたことも必要であると解釈。その上で、帳簿書類の押収は法定申告期限前ではなく期限後であると認定、修正申告前に押収がなされていたとしても更正の請求は認められないと判示、納税者の請求を棄却している。
(1999.1.29千葉地裁判決、平成9年(行ウ)第33号)