翌期の返還金の支払いを事由とした更正の請求を否定
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:05/22/2000  提供元:21C・TFフォーラム



 前事業年度に係る売上代金の一部を翌事業年度に返還した場合に、前事業年度の所得金額からその返還金分の減額を求める更正の請求が認められるか否かその是非が争われていた事案で、国税不服審判所は返還金に相当する損失は翌事業年度の損金に算入すべきであり、更正の請求の要件を欠くと判断、審査請求を棄却した。
 この事案は鉄鋼業を営む法人が前事業年度に計上した製品売上代金の一部を翌事業年度に返還したことから前事業年度の所得金額が減少したため、その減額を求める更正の請求を行ったのが発端。審査請求人は、代金請求時に重量計算の誤りがあって代金の一部を返還したこと、また代金の返還は国税通則法施行令6条1項2号の「更正の請求」に該当することから、更正の請求は認められるべきであると主張していた。
 しかし、原処分庁は返還金に相当する損失は翌事業年度の損金に計上すべきであり、国税通則法施行令23条1項各号のいずれの事由にも該当しないと反論していた。
これに対して裁決は、まず返還金の支払いが確定したのは翌事業年度であり、返還金に相当する損失は翌事業年度の損金に算入すべきであると指摘。また、法人税基本通達2-2-16の取扱いは当期に発生した損失が既往の事業年度の益金に対応するものであっても当期の損失に計上するという、一般に公正妥当な会計処理の基準の考え方を明示したものであることから更正の請求の要件を欠いていると判断した上で、審査請求人の主張には理由がないと通知処分の取消請求を棄却した。
(国税不服審判所、1999.2.26裁決)