判決の確定を理由にした更正の請求を否定、訴えを棄却
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:12/09/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 株式の譲渡価額をめぐる損害賠償請求訴訟の別訴判決が更正の請求が認められる場合の判決等に該当するか否かの判断が争われた事件で、東京地裁(谷口豊裁判長)は申告、更正、決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実について計算の基礎とされるものと異なることが確定した性格の判決ではないと判示して、請求を斥けた。

 この事件は、相続した株式を評価通達に基づく評価額で申告後、その株式の譲渡をめぐる損害賠償請求訴訟で、相続財産は株式ではなく株式の売買代金請求権であることが確定したという判断から、国税通則法23条2項1号に基づく更正の請求をしたところ、原処分庁が更正すべき理由はないとして請求を斥けたため、その取消しを求めて提訴したという事案である。

 納税者側は、同号が定める「事実に関する訴えについての判決」の「事実」には、広く課税計算の基礎又は前提となって、その事実により特定の課税計算の内容を左右するようなものであれば、これら諸事実がすべて含まれるという主張を展開した。

 しかし判決は、国税通則法23条2項の意義及び趣旨等を解釈した上で、判決の内容を検討した結果、株式が相続開始時には既に訴外法人に譲渡されて被相続人の相続財産に含まれないことを判示したものではないと指摘。しかもこの判決によって、株式が被相続人の相続財産に含まれないことが確定したものではないというという判断もした。

 その結果、別訴判決によって「申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したということはできない」と判示するとともに、更正の請求の期間経過後に改めて更正の請求をすることについてのやむを得ない理由も見当たらないと判示して、納税者側の主張を斥けている。

(2014.02.18東京地裁判決、平成24年(行ウ)第854号)