ゆうメールによる申告書の提出は郵送によるものではないと裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:05/20/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 いわゆる「ゆうメール」による申告書の提出が郵便法上の郵便及び郵便物によるものと同様か否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、ゆうメールによる役務の提供は荷物の搬送であり、郵便法上の郵便には該当しないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人の「ゆうメール」による申告書の提出に対し、原処分庁が法定申告期限内に申告書が到達しなかったとして、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたのが発端。そこで請求人が、国税通則法22条(郵送等に係る納税申告書等の提出時期)により、法定申告期限内に提出されたものとみなされると主張、その取消しを求めて審査請求したという事案である。つまり、ゆうメールによる申告書の提出にも同条が適用され、法定申告期限内に申告書が提出されたものとみなされるべきか否かが争点になった事案だ。

 これに対して裁決は、租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合は私法上の概念と同じ意義に解するのが、租税法律主義や法的安定性の確保に資するが、国税通則法22条は郵便及び郵便物と規定するだけでその定義規定を置いておらず、郵便法上の郵便及び郵便物と別意に解すべきことが同法の明文又はその趣旨から明らかであるなどの事情も認められない指摘。

 かえって、同条は、郵便及び信書便が郵便法又は信書便法の規定に従って配達されるため紛失する可能性が低いことなどの事情を考慮するとともに、納税者と税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正する必要性も勘案して、郵便又は信書便により提出された申告書等に対して、民法上の到達主義の原則を緩和するものであることなどに照らして考えると、同条が定める郵便及び郵便物は、郵便法上の郵便及び郵便物と同じ意義に解するのが相当であると解釈した。

 その結果、ゆうメールによる役務の提供は荷物の運送であるから、郵便法上の郵便には該当しないという判断から、国税通則法22条は適用されないとして審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2013.07.26裁決)