納税者の主観的な事情による場合の正当な理由の主張を否定
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:06/28/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 過少申告はいわゆる誤指導等があったためで正当な理由があると主張、延滞税の取消しを求めた事案で、国税不服審判所は申告相談担当職員による誤った指導はなく、正当な理由があると認められるものがある場合には該当しないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、破産したゴルフ場の会員権の譲渡損失を計上して過少申告した審査請求人が、税務調査の際にその誤りの指摘を受け、譲渡損失はなかったものとして修正申告したことが発端になったもので、原処分庁がその修正申告に対して過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたことから、それに係る延滞税の取消しを求めて審査請求していたという事案だ。

 審査請求人は過去に税務署から連絡を受けてゴルフ会員権の譲渡損失を申告して還付を受けたことがあったことから、税務署がゴルフ場経営法人の破産宣告を受けたことを知っていたものと判断。つまり、申告相談の際に破産したゴルフ場の会員権の譲渡損失は他の所得と損益通算ができないという説明があったならば申告しなかったわけで、過少申告になったのは税務署員が申告相談の際に適切な指導をしなかったためで、内容に誤りがある申告書を受理した以上、責任は税務署にあると主張、原処分の取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、正当な理由があると認められるのは納税者の責めに帰することができないような客観的な障害に基因する場合など真にやむを得ない理由による場合に限られ、過少申告が納税者の不知や誤解とかの主観的な事情に基づくような場合までを含むものではないと指摘、棄却している。納税者の勝手な思い込みではダメだということだ。

(国税不服審判所、2004.03.24裁決)