申告期限3年経過後の修正申告書に更正の予知はないと裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:06/17/2003  提供元:21C・TFフォーラム



 法定申告期限から3年経過後に提出された修正申告書が、更正を予知してなされたもので過少申告加算税の対象になるか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は原処分庁側が偽りその他不正の行為により税額を免れたことの立証をしておらず、かつその証拠書類の提出もないと指摘、原処分を全部取り消す裁決を下した。

 この事案は、そば・うどんの飲食店を営む個人事業者が審査請求していたもので、5年分の所得税を申告した後、調査を受けて修正申告書を提出したところ、原処分庁が請求人は調査によって修正申告が必要であることを指摘されてから各修正申告書を提出したと認定、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、請求人がその取消しを求めていたもの。

 請求人は、修正申告が調査担当職員の言われるままに提出したもので無効であるとともに、賦課決定処分についても日々の売上等を記載した大学ノートは単なるメモであり、不正その他偽りの行為はなく、更正を予知して提出したものでもないと反論、原処分の取消しを求めていた。つまり、5年間の各申告のうち、前2年分については過少申告加算税、後3年分については重加算税が賦課されていたという事案だ。

 請求人の主張が認められたのは前2年分の申告にかかるもの。前2年分の修正申告について裁決は、修正申告書が法定申告期限から3年経過後に提出され、原処分庁側が「偽りその他不正の行為によってその全部若しくは一部の税額を免れた」ことの立証をしなければならないのにもかかわらず、原処分庁からはこの点に関する具体的な立証がなく、かつ証拠資料もないと原処分庁の対応を批判、前2年に対する原処分を全部取り消している。

(国税不服審判所、2002.02.05裁決)