郵便による申告書の提出をめぐる争いで一部取消しの裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:07/30/2002  提供元:21C・TFフォーラム



 税理士が郵送した申告書が期限内申告書として取り扱われるべきか否かの判断が争われた審査請求事案で、国税不服審判所は期限後申告書と認められるので更正処分は妥当と請求を棄却する一方で、無申告加算税の賦課決定処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分を取り消すという一部取消しの裁決を下した。

 この事案は、税理士業を営む請求人が郵便で所得税の申告書を提出したことが発端になったもの。しかし、原処分庁が3月17日に収受した封筒の通信日付印は3月16日だったため、青色申告特別控除金額を45万円から10万円に減額する更正処分を行うとともに、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたわけだ。そこで、税理士が原処分の取消しを求めて審査請求していたという事案だ。税理士は、3月15日中にポストに投函した時間が最終回収の時刻後であったため、通信日付印が16日になったと指摘。原処分庁の勤務時間開始前に時間外文書収受箱に投函していれば期限内申告として取り扱われたはずなのであるから、期限内申告書としてこれと同様に取り扱われるべきであると主張した。

 これに対して裁決は、請求人の申告書は郵便によって提出されたのであるから、原処分庁が国税通則法22条に従って期限後申告書として取り扱ったのは相当であり、更正処分は妥当であると判断。しかし、更正処分に伴う無申告加算税の賦課決定処分は国税通則法66条の適用を誤ったものであり、本来は過少申告加算税になると指摘して、過少申告加算税相当額を超える部分を取り消す裁決を下している。税理士の対応も反省が求められるが、条文適用を誤った原処分庁の対応も反省が必要な事案といえよう。

(国税不服審判所、2000.10.10裁決)