第二次納税義務の納付告知ができる場合には当たらないと判示、棄却
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:12/01/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 地方税を滞納した破産会社から不動産を譲り受けた法人に対する第二次納税義務の納付告知処分の適否が争われた事件で最高裁(鬼丸かおる裁判長)は、滞納者に滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合には当てはまらないと判断、法人側の主張を認容した控訴審判決を不服として上告した東京都の主張を棄却した。

 この事件は、破産法人から不動産を有償で譲り受けた法人が、滞納者である破産法人の都税に係る第二次納税義務の納付告知を受けたことから、その法人を吸収合併した法人が納付告知処分の取消しを求めて提訴したもので、控訴審が法人側の主張を認容したため、都側が控訴審判決の取消しを求めて上告していた事案である。

 地方税に係る第二次納税義務の納付告知ができるのは地方税法11条の8が「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」と定めているが、控訴審は債務者の財産に対する強制執行や国税滞納処分を禁止する包括的禁止命令が裁判所からされる前に、破産法人の約68億円余の預託金の返還請求権を差し押えなかったのは著しく不合理という判断から、第二次納税義務の納付告知をできる場合には当たらないという判断した。

 最高裁はまず、滞納者に滞納処分をしても徴収額に不足する場合とは、納付告知時の現況において、本来の納税義務者の財産に対する滞納処分により徴収することができる価額が、徴収金額の総額に満たないと客観的に認められる場合をいうと解釈。その上で、納付告知時点の滞納法人の資産状況に触れ、その財産が破産管財人の管理下に置かれていたことから、納付告知の前後においてその財産に大幅な変動があったとは考え難いと認定した。

 そうした事情を踏まえれば、納付告知の時点において、交付要求等を含む滞納処分により徴収することのできる価額が徴収金の総額に満たないと客観的に認められるとはいえず、第二次納税義務の納付告知ができる場合にされた告知ではないと判示、都側の上告を棄却した。

(2015.11.06最高裁第二小法廷判決、平成26年(行ヒ)第71号)