税務調査後の修正申告書の提出は更正を予知したものと判示
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:03/16/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 相続税の修正申告が国税通則法65条の「更正を予知して提出されたもの」か否かが争われた事件で名古屋地裁(野田武明裁判長)は、修正申告しなければ更正処分を受けるという結果を納税者が認識していたことは確かと判示、過少申告加算税の取消請求を棄却した。
 この事件は、税務職員が相続税の申告書を作成した税理士に相続税の調査を行いたい旨連絡してきたことを受けて、納税者が調査予定日の前日に第一次修正申告書を提出したことが発端になったもの。その後の税務調査で株式、ワリチョー、定額預金等の申告漏れ財産を把握され、修正申告書の提出を慫慂された。そこで、納税者はその慫慂にそって再度、修正申告書を提出したものの、原処分庁が過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、異議申立て、審査請求後、その取消しを求めて提訴していたという事案だ。
 納税者は、国税通則法65条が定める更正は客観的事実関係と合致した絶対的に正当な更正処分を指し、取り消しされる余地のある誤った更正処分は含まれないと主張。また、いわゆる「更正の予知」には、敢えて正当であるとは認識していない修正申告を自発的に行った場合は含まれないと反論、原処分の取消しを求めていた。
 これに対して判決は、更正があるべきことを予知してなされたものでない時とは、税務職員の調査の着手によって先の申告が不適正で申告漏れが発覚、更正に至ることが確実視される段階で修正申告書を提出したものではないと解釈。しかも、修正申告の慫慂に応じなければ更正処分を受けるであろうことを納税者が認識していたことが客観的に認められるのであるから、賦課決定処分は適法に行われたと判示、納税者の主張を斥けている。
(名古屋地裁2000.7.12判決、平成12年(行ウ)第5号)