通信日付が申告期限の翌日なら期限後申告と裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:07/21/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 法定申告期限までに申告書を郵便ポストに投函したものの、集配業務の投函だったことから通信日付が申告期限の翌日になった場合に、加算税等を回避できる正当な理由の主張が認められるのか否かその判断が争われていた事案で、国税不服審判所は納税者が当然払うべき注意義務を怠ったことがそもそもの原因と指摘、審査請求を棄却した。
 この事案は、ある同族法人が申告期限に申告書を郵便ポストに投函したものの、集配業務後だったことから通信日付が翌日の日付となったことが発端。そのため、原処分庁は期限後申告と判断して無申告加算税の賦課決定処分を行った。そこで、通信日付が翌日になったことを納税者の責めにすることは酷であり、真にやむを得ない理由がある場合に該当すると主張、無申告加算税の取消しを求めていたというもの。つまり、無申告加算税の非課税要件を定めた国税通則法66条の「正当な理由」を主張していたわけだ。
 これに対して、審判所は書留扱いで郵送すべきところを失念し、郵便部の集配時間も確認しなかったこと、またポストと距離的に変わらない郵便局から郵送することに何の支障がなかったにも関わらずポストに投函したこと、等々の状況を確認。そうした状況判断から、納税者自身が当然に支払うべき注意義務を怠ったために生じたものと指摘する一方で、真にやむを得ない事情は認められず、無申告加算税が非課税となる正当な理由も認められないと判断して、請求人の主張を斥けた。ちょっとしたケアレス・ミスがもたらした不幸ともいえるが、もう少し柔軟な対応が望まれてもいいのではないだろうか。
(国税不服審判所、1997.3.27裁決)