納付計画書が納税猶予申請手続の必須条件ではないと裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:02/10/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 納税の猶予申請の不許可処分の違法性の有無が争われた審査請求事案で、国税不服審判所は猶予該当事実に基づく納付困難な税額が算出されるのであるから、納税の猶予不許可処分は違法であると判断、原処分を全部取り消した。

 この事案は、審査請求人が居住用家屋を全焼し、家財道具等を焼損したことが発端になっている。そこで、火災後、請求人は消費税及び地方消費税の確定申告書を提出するとともに、その確定申告書に消防署からのり災証明書を添付して、納税の猶予申請も提出したわけだ。

 これに対して原処分庁が、納税の猶予の要件等(通則法46(2))に該当しないと判断、納税の猶予不許可処分をしてきたため、請求人がその全部取消しを求めて審査請求していたという事案だ。原処分庁は、請求人からり災状況を聞き取った内容を裏付ける資料の提出がなかったことから納付困難であるか否かの判断ができなかったことを理由にあげたほか、納税の猶予申請書の「納付計画」欄の記載がなく、その後も納付計画を明示していなかったのであるから、納税の猶予申請を認めることはできないと主張していた。

 これに対して裁決は、事実関係を調査した上で、猶予該当事実に基づく納付困難な税額が算出されるのであるから、納税の猶予不許可処分は違法であるから取り消されるべきであると判断。また、国税通則法施行令15条2項3号は、分割納付の方法によって納税猶予を受けようとする場合には納付計画を記載することとなっているが、請求人の場合、そのような場合ではないことが明らかであると指摘するとともに、納付計画の記載が納税の猶予申請の必須条件ではないとも指摘して、原処分を取り消している。

(国税不服審判所、2008.05.12裁決)