隠ぺい・仮装した修正申告に対する重加算税の賦課は妥当
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:07/06/2004  提供元:21C・TFフォーラム



 ワリコー等の相続財産の帰属が争われた事案をめぐり、納税者の第二次修正申告によって増額した税額に対する重加算税の賦課決定処分の可否が争われた事件で、東京地裁(市村陽典裁判長)は申告期限後の隠ぺい・仮装に基づく相続財産の一部を除外した第一次修正申告書を提出した後に、除外した相続財産を含めた第二次修正申告書を提出したのであるから、これに対して重加算税を賦課した原処分を適法と判示、納税者の主張を斥けた。

 この事件は、相続税の申告後の調査で把握した割引興業債券と定期預金の帰属が発端になったもの。しかし、原処分庁はワリコーを誰がどこに所有しているか確認できなかったため、定期預金を相続財産に加えて申告するように慫慂、過少申告加算税の賦課決定処分をした。その後、原処分庁は再びワリコーが償還されたことを把握したため調査を再開、納税者がこのワリコーも含めて第二次修正申告書を提出したことを受けて増加税額に対する重加算税の賦課決定処分をしてきたため、納税者がその取消しを求めていたという事案だ。つまり、隠ぺい・仮装に基づく申告書を提出した時の申告書の意義、隠ぺい・仮装の時期、重加算税の成立時期、隠ぺい・仮装の事実の有無が争われていたわけだ。

 これに対して判決は、通常の期限内申告と修正申告を別異に解すべき理由はないと一蹴した上で、納税者が修正申告で隠ぺい・仮装に基づく修正申告を提出した時はこれに対して重加算税を賦課することができると判示、納税者の請求を棄却した。つまり、重加算税が法定申告期限時に課税要件を満たす必要があり、その後の隠ぺい・仮装した修正申告書の提出時に重加算税を課すことが許されないと解することは相当ではないという判断だ。

(2004.01.30 東京地裁判決、平成13年(行ウ)第157号)