納税猶予の要件の立証責任は納税者にあると裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:03/02/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 納税猶予の要件に該当する事実があるか否かの判断が争われた事案で国税不服審判所は、審査請求人自らが要件が充足していることを明らかにしていく姿勢がうかがわれなかったのであるから、納税猶予の不許可処分は妥当と判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が請負受注の減少、請負金額の大幅低下に伴う経営状態の悪化を理由に、国税通則法46条2項に基づく納税猶予の申請をしたところ、原処分庁が納税猶予の要件に該当する事実が認められないとして不許可処分をしてきたことから、その取消しを求めていたもの。

つまり請求人は、徴収担当職員が納税猶予の適否の判断に必要な質問検査を行わず、また納税猶予の申請に関する資料を見ずに帰り、請求人に説明の機会も与えなかったことは、納税猶予を受ける権利を侵害するものであるから、納税猶予の不許可処分に係る手続きは不当であると主張して、その取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決はまず、納税猶予の要件を充足することについての立証責任は納税猶予の申請をした納税者側にあると指摘。その上で、徴収担当職員が納税猶予に係る事実認定を行おうと努めたにもかかわらず、請求人は第三者の立会いの下での調査に固執し、自らが進んで納税猶予の要件が充足されていることを明らかにしていく姿勢がうかがわれなかったのであるから、納税猶予を受ける権利を侵害した事実はないと認定。その結果、原処分庁が行った納税猶予の不許可処分が違法又は不当であるとは言えないと判断して、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2002.02.08裁決)